革財布の“水シミ”を防ぐ方法と、できてしまったときの正しい対処法

雨に濡らしたり、手の水滴が落ちたり――。革についた水シミは目立ちやすく、取り返しがつかないように感じるかもしれません。

しかし、正しい知識と対処があれば経年美を損なわず育て続けることは十分可能です。本記事では〈防ぐ・乾かす・補う〉の三方向から、革ソムリエ監修で徹底解説します。

1. なぜ革に水シミができるのか?

植物タンニン鞣し革は水分を吸いやすい素材。水に濡れると繊維内部が局所的に膨張し、乾燥時に収縮することで色ムラ・硬化・シワを招きます。

2. 水シミを“つけない”3つの習慣

  • 防水スプレーは季節の変わり目ごと(3〜4 か月に1回)
    雨が多い地域・時期は月 1 回を目安に。フッ素系を薄く均一に吹き、乾拭きでムラを整えます。
  • 雨の日はバッグの中央や傘の内側へ
    外ポケットより濡れにくい位置を選ぶだけでリスクは大幅減少。
  • 手が濡れているときはひと拭きしてから触る
    “ほんの一滴” が輪染みの原因になることも。

ロウ引きレザーのブルームはどうする?

Amber Sylup の財布に用いるロウ引きレザーは、表面ワックスが白いブルームとして浮き出ます。
軽い水跡なら馬毛ブラシや柔らかい布で軽く磨くとワックスが馴染み、跡が目立ちにくくなります。

3. 濡れてしまったときの正しい対処

  1. 押し拭きで水分を移す――擦らず“布を当てる”イメージ。
  2. 形を整えて陰干し――直射日光・ドライヤーは NG。
    乾燥時間は最低一晩(12h 以上)、厚い革や高湿度なら 24h を推奨。
  3. 翌日、米粒大の保革クリーム――指で薄く伸ばし、乾拭き。塗り過ぎはカビの栄養源になるので厳禁。

4. どうしてもシミが残った場合の選択肢

くっきり輪染みが残ったときは、革全体を軽く湿らせ均一に乾かす「全濡らしリセット」という手法があります。ただし色抜け・波打ちのリスクがあるため専門店での相談が安全です。

“守る”ことも経年美。でも、完璧を目指さなくてもいい。

丁寧なケアは革を長く美しく育ててくれます。けれど、もし水シミが残っても、それはあなたの暮らしが刻まれた小さな痕跡

革は生きた素材。多少のムラやシミさえ愛おしいと感じる育て方もまた、経年美の楽しみ方です。

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